体勢。
A病院の体勢は穴だらけになったように思う。
無理をさせない、時間で縛らない。
その代わりに実にゆるゆるでしまりなくなったように思う。
お風呂の時間のすぐあとにSSTの授業があるとか、
風呂を手早くすませたわりには「確認してきます」と職員が
こちらの行く手を阻み、出席が遅れてしまったり、
おやつ買い物が病棟の体操の時間と被っているため、
一度いけなかったことがあった。
詰め所に何か質問すると「確認してきます」と明快な答えがすぐ来ない。
計画や時間の組み立てが甘く緩い印象がした。
北のトップ(男性のボス的存在につけたニックネーム)さんは
「△△さんじゃないよ!俺は○○先生が何時何分に病棟に来るかどうか
聞いているんだ」業を煮やしたふうに大声で聞いていた。
確かに、そこに一理あると思った。先生の回診は遅れるのだ。
気分で来ているかのように突然いらっしゃる。
神出鬼没のA先生。思わず「出た!」と腰を抜かすアクションで
迎えようか、と思ったくらいで。幽霊じゃないんだから。ねえ。
A先生が書いたわたしの入院指導の用紙に「レントケン」と
書いてあった。ボールペンがあったらちょんちょんと書き足して
「レントゲン」にしてさしあげたかった。
患者を縛り付けない、イケメン風看護師さん、喫茶店ウェイトレス風の
看護婦さん。いいんだろうか、そんなで。
昭和の頃から互いをよく知っているO看護婦さんも
平成バージョンの病棟を受け入れてこられただろう。
患者をよく動かして退院へ導く、そんなのは古いんだろうか。
「(上のほうへ)確認してきます」で一旦雲隠れ。
答えを待っていたら一日仕事になる、っちゅーねん。