今を、生きる。
わたしは台所仕事が苦手だ。
家事全般が苦手といってもいいくらいだ。
逆に彼=夫は完璧にこなす。日々の食材買い物も怠らない。
ストックしてある食材は「先入れ・先出し」と表し
古いほうから使えるように入れていく。
いつまでも古いのが残るのがダメらしい。
昨日は野菜切りをまず午前の早いうちに済ませ、
昼ごはんを食べてから朝食用の味噌汁をつくり、さましたら冷蔵庫へ入れて保存し
夕飯の野菜おかずが必要なので白菜のお浸しをつくった。
こういう順番だと「一日じゅうごはんを作っている悲しみ」が無い。
ゆとりでおかずづくりに取り組める。
白菜のお浸しは昨日の晩「やはり手作りのものは美味しいね」と
彼は心から喜んでくれた。
白菜を切って7~8分茹でて水気を絞っただけで
料理とも言えないものだが、かつおぶしをふりかけ、ポン酢でいただくと
ホッとする。そういう美味しさだ。
プチ不自由に甘えて家事全般を彼に任せきりにしたのは
本当に申し訳なかった、と思う。
彼も幾度も倒れそうになりながらも無我夢中で仕事と両立してきた。
家計を黒字にし、タクシーのお仕事も何回1万円札を出されても
OKなだけの釣り銭を用意し、今日乗る車に挨拶し、
真摯に仕事に取り組んできたのだ。
野菜切りの分担はそろそろわたしにも出来るかな、という
タイミングだったように思う。季節はめぐるのだ。
春は来るのだ。退院から「1年経ったね」としみじみふたりで
回想した。まさか5月にクラッシュするとは前もって
わかっていたら乗り越えられなかったかも。
そういう意味であの時「今」を生きていたふたりだった。