かけっこ得意だったのにな。
ジプレキサは昨年やめられた。
のに、ここへきて体重が増加の一途を辿っている。
「苺の食べ方を見てるとわかるよ。ジプレキサの頃とは違う。
それに何キロになっても君を愛するよ」
大台を越えても愛は頑丈みたいだ。
ジプレキサの常用の頃の食べ方は異様だった、と彼は回想する。
「ゴミ箱にこんなに食べたんだ、ハッピーターンを」と
山盛りの空き袋があったよ、と怖そうに今でも言う。
「あの頃に比べると今の食べ方は全然、健全」
「それに朝は洗濯が必要なほど汗をかくでしょう、
脂肪はそこでじゅうぶん燃焼されてるよ」
それならいいんだけど。
小さな頃はかけっこが得意だったが、今は転ぶと危険だから
とくに頭を打つのが大ごとになるから「やめておいてね」と彼からお達しがある。
ので、今日も公園を歩いて30分の有酸素運動にとどめている。
血管をだいじにするのは「お互いに」固く約束してある。
アラフィフ同士の年相応のお約束ごとだ。
今日もラジオ体操の午後を過ごそう。呼吸をととのえて、身体を相応に動かして。