そのひとをそのひとらしく扱う、接する。
エミリーとカッシディ神父が出会うくだりが好きだ。
子どものいう事を神父はしっかり大人として接していた。
エミリーは彼を少しばかり風変わりな話し方に感じたが
そのくらい神父が上質なユーモアを持ちあわせていた、ということだ。
カッシディ神父はエミリーの才を感じ「(詩を)つづけなさい」と言った
最初の大人である。その後二人は逢うことはなかった、とあるが
たましいの会話をしたことをそれぞれずっと心に刻んでいただろう。
なによりも。
私を私らしく扱い接してくれるひとにはこちらを開く魔法があった。
「それはグッドクエスチョンです」
精神科の医師ではなかったがこちらの小さな質問をそう受けたドクターがいた。
病院を移られるときに交わした最後の笑顔を覚えている。
医師のほうも欠片でもこちらを覚えていると今でも感じられるのだ。