冬の天気に「ノルウェイの森」。
顔も洗わずお風呂も飛び飛びで何日も過ごすような、
今から25年ほど前のまだまだ不安定な自分のほうが
リアルだった頃。
気に入らないことへ簡単に不平を述べ毒を撒き散らしていた。
村上春樹著の「ノルウェイの森」が社会現象にもなるほど売れていた。
読書好きだったのですぐ飛びついた私は、
直子が阿美寮へ入所したくだりで
「こういう精神科の施設などありえない!」と気落ちした。
一度目の最悪の入院が思い起こされたからだ。
本を読んだのも私の苦手とする秋のはじまりのことだったのも拍車をかけた。
その後、体調の浮き沈みはあったものの、
村上春樹さんの特に長編作品をむさぼるように読み始めた。
今では「ノルウェイの森」は好きで繰り返し読んでいる。
本のほうが私が大人になるのを待ってくれていたのだと思う。
本ばかりでなく家族・社会もそうだったのだろう。
世界は優しくないけれど優しかった。
どんなに拗ねても吼えても寝込んでも
私は結局食いっぱぐれることなくここまできたのだから。
と同時に成長してない自分もひしひしと感じる。
外は冬の雨。ただ単に今も天気に気持ちがひきずられてる
だけのような気がして。