生きるエネルギーが下がると、
県立のB病院の入院生活の経験が1度だけある。
その頃はとても病が深かった。それにまだ若く遠い昔なので
入院生活のあらましを描写できるほどの記憶が今はない。
国立のA病院と同じくらいの建物の大きさでA、Bどちらの病院も大病院であることには変わりない。食事の量、質などもほぼ同じような豊かな水準だ。
刃物類やアルコールの持ち込みが禁止なのはどちらも同じだ。
あえて違っていた点を上げたらB病院は
インスタントコーヒーや好きなお茶がある程度持ち込めたことだ。
お茶類を所持していた患者仲間がお茶会を開くなどとてもあたたかい記憶だ。
コーヒー党になりつつあった20代前半の私にとってとても嬉しかった思い出である。
A病院では女子病棟にいるのは女性の看護師のみだったが、
B病院には女性の看護師が大半の中に数名の男性看護師がいた。
患者の中に異性の看護師を嫌がる者も少なからず居た。
私はどちらも経験しているので
両方に長所短所はある、という考え方だ。
閉鎖病棟には窓に格子があり入り口の扉は厳重に鍵がかかっている。
一番初めに一歩病棟に入った時にくらう空気感は強烈で独特だ。
「自分たちからはなんもせん(何も行動したくない)」という
強い諦念が充満しているためだろう。
自分では気がつかなかったが生きるエネルギーが低下すると
そういった匂い・オーラとなる。救済の場所はやはり必要である。