切り離すイメージで、手放した。
母とわたしは女同士だが人格が違う人間だ。
いつもフラッシュバックする苦い思い出は完全に許した上で切り離そう。
そもそもが違うのだった。
考え方も生きる意義も、見事に違う。話す語彙も果てしなく違う。
丈夫に産んでもらった恩義はあるが、歩く道すじが違う。
彼女が怖いと思うたとえば「水たまり」をわたしはポンと飛び越える。
母が使う絵の具は淡すぎてわたしは敬遠する。
薦められる人生の岐路の内容はわたし好みではなかった。
それだけ違うから、「今がこう」なんだと思う。
ハサミで切り話すイメージで手放す。それでいいんだ。
雑多な感情や思い入れなど挟む余地もない。