精神的な壁・ひらりと飛んで虹。

やはり心のことを書こうと思い直し。

介助するダーリン。

彼の一日はめまぐるしい。

まず夜中の1:30に目覚め、二人ぶんのコーヒー豆をコーヒーメーカーにセットし、

スイッチを入れるだけにしておく。流しに洗いものがあれば洗い、食器カゴに

乾いた食器を所定の位置に順にしまっていく。

パソコンタイムになだれこむまで家事は続く。

しばし自分のためだけにパソコンを使う。

やがて妻が「腰が痛ーい」と起きてくる。今朝などは朝ではなく午前2時だ。

そこで唯一の自分だけのPCタイム終了。

妻、わたしがお手洗いを済ませている間に、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、

コーヒーを落とす(淹れる)。お手洗いが済んだわたしの汗くさいパジャマを脱がし

下着及びスパッツを履かせる。洗面台に立たせたままの作業である。

そして和室に移動すると今日のいでたちを決めて着替えを手伝ってくれる。

今の季節ならたいていタートルにワンピースだ。

着せたら、洋室の椅子に移動。椅子に腰掛けたスパッツの足に

同色のハイソックスを履かせる。

冬を迎える前に話し合ったのだがタイツを履かせてもらう案は却下された。

そこで黒のスパッツに黒のハイソックスで一見タイツ風に見せる

方法を提案して定着した。タートルネック、ワンピース、足元はタイツ風。

外出時には裏地がボアのブーツをスポッと履く。

ちなみに靴はぺたんこだ。かかとのあるものは転倒したら危険なので。

足をねじってもいけない。右足に古傷がある。

あと1度足をねじっていたら手術です、という怪我をしたことがあるので

やむなく以来ぺたんこ靴オンリー生活なのだ。

洋室の窓辺のテーブルにつく。腰痛で目覚めたので椅子はキャンプ用の

身体をホールドしてくれるタイプのものをあてがってくれる。

窓辺のテーブルには彼によってお茶が汲まれ朝の服薬の準備が出来ている。

お茶のコップは2個。どちらも冷たいお茶である。

朝一番は便秘解消のためのアローゼンだ。200ccの冷たい水またはお茶で飲む。

次は血圧のお薬だ。朝食後と書かれたものなので、プロセスチーズと

今の季節ならみかんを1個食べてから血圧のお薬を飲む。

痛んだ腰はだいぶ楽になっている。窓辺のテーブルでTwitterをする。

夜明けのつぶやきは地味だ。一番タイムラインがスカスカしている。

けれど同志も居る。本アカに入力が遅いので朝の挨拶だけで失礼する。

淹れてくれたコーヒーが沁みる。

「立ち上がりたい」「うん、椅子替えるね」ホールド椅子から

窓辺専用のカチッとしたレギュラー椅子に差し替える彼。

マグカップを流しで洗い、カゴで乾かす。乾いた先から彼が所定の位置に戻す。

Youtubeなどの動画をテレビ画面で楽しめるように設定してくれたおかげで

洗面・歯磨きを終えたら動画タイムになだれこむわたしだ。

 

彼の介助の手数を数えると実にきめ細かい。

「ここまで出来たものがこちらになっております」のお料理番組みたいだ。

ふたりで考えて提案をすり合わせて着替えなどのスタイルが出来上がってきた。

5月に健康診断があるので、ひとりで着る着替えの手順を模索するのも

新たなチャレンジだ。彼についててもらうことは不可能だから、だ。

たとえばブラジャーなどである。脱ぐのも着るのもフロントホックが

いいだろう。衣服の工夫などで思い浮かぶのは、昨年見かけた義足の

ファッショナブルな彼女だ。銀の義足に可愛い靴を履かせて

堂々としたワンピース姿は眩しすぎて忘れられない。

彼女の影の苦労は計り知れない。尊敬に値する連続だと思う。

エプロンなどもたもた装備していると彼女はきっと

涼しげに装着するのだろうな、と想像してしまう。

愚痴を周囲に漏らすこともなく、活き活きと暮らしているのだろう。

また報道番組で見た筋ジストロフィーの彼女もわたしの生きる指針だ。

不自由な四肢で毎日のことを堅実にやっていた。

わたしも負けてはいられないと自分を鼓舞する。

甘えてはいられない。工夫によって生きるのだ。彼には本当に感謝している。

毎日まいにち。目覚めてから仕事へ行き、帰宅して最初の一杯のアルコールを

口にするまでわたしのために何事かをやり続けてくれてる根性に乾杯。

 

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