出さない手紙。
妹へ手紙を書きかけて結局ぜんぶ辞めた。
彼も投函はしないほうがいいと言った。
こちらから出来ることは幸せに暮らすことだけなんだよ、と
彼も念を押した。
わたしも手紙を書いていてわかってもらおうなんて
さもしい考えだとだんだんに自信がなくなってきていた。
いっぺんに願いが叶う魔法は、この世にはない。
わたしが感じる幸せは実家の皆とは違う。
わたしから5年前に線を引いたではないか。
ひっかいておいていきなりごろにゃんと態度を変えては
逆に失礼だ。誰に? 皆に、だ。
よって、出さない手紙ができた。
ネイルを塗ってささくれに沁みた。
いつまでもひりひり痛い。自業自得である、受け入れよう。