なぎさ会の苺。
なぎさ会というのを勝手に立ち上げてみた。
会員4名、KさんとZさんとAさんとわたしである。
セカオワの意味を教えてくれたKさん。
動画アップロードに詳しいZさん。
若いときから隣町で雇われママをしていたAさん。
そして言葉知らずの言葉のプロになりたいわたくし苺である。
Aさんは同性ということもあり人生の先輩として知恵の宝庫であった。
超便秘がちだったわたしに「朝いちばんにぎりっと冷た~い水を
飲むといいよ」と伝授してくれて「私、もう今日は出たよ」と
うんにょさんの有無を報告をしあう仲だった。
Aさんは高齢ながらしゃきしゃき動けるので同年代の患者さんの
目薬をさしてあげるなど頼りになる存在であった。
わたしはナースコールを常時持たされていて特に後ろから転ばないように
頭を打たないように気をつけなければならなかった。
それではありあまるエネルギーは発散されない。
せめて前屈運動を、と腰を折りたたもうとしたところで「止めるんだ」と
すかさずAさんから注意が飛んできた。ごもっとも、である。
Aさんの退院はわたしの退院月の末で、互いに「おめでとう、もう来ないように
しようね」と前途を喜び合った。
なぎさ会の話をすると半分は聞いてあげる、といった風情で、
永遠に続くものなどないのだけどね、というようなシニカルな笑顔を
つくりつつ聞き流していた。Aさんの体重は夢の40キロ台前半で
「お姫様だっこが可能な体格ですね!」こんなとほうもないことを
いってのけるわたしを「何を馬鹿なことを言う」と実際に言い、
本気でとりあわなかった。普段から話は半分に聞く、処世術に長けたかただった。
なぎさ会は三々五々散り散りになり二度と顔を合わせる機会は訪れなかった。
わたしの脳内の4人はいつまでもはっきりと若々しい。