床屋さんで「運命変わった」
前の入院では月に1度床屋が来て髪のカットや男性患者の髭などを
あたっていた。わたしは床屋に切ってもらうのは抵抗があった。
美容室でなくちゃ、微妙なラインを作れない、と勘違いをしていた。
だが、どうにも前髪が伸びすぎておさまりが悪い。
実家の女性陣も多忙でメンタルを病んだ家族のためだけには来られない。
意を決して次のA病院の床屋に心で予約を入れた。
当日。順番の用紙に名前を書き込む。
それが正式な予約代わりとなるらしい。
「毛先を軽くして下さい」というニュアンスで伝わったようだ。
ついでに「細眉にしてください」眉毛もととのえてもらった。
ちっとも細くなってなかったけれど。普段構いつけてないことがバレたか。
翌日。「この人、運命変わったわ」としきりにリハビリ通いのおばあちゃまが仰る。
翌々日夫の面会日だった。退院へ向けての話し合いの日だった。
髪の毛で運命が変わるとしたら床屋も有りだろう。
認識を新たにした。A病院くらいの大病院だったら、
売店ではなくコンビニ。床屋ではなく美容室を平日予約できるように。
それくらい入れなくちゃ♪と息巻いていたのはわたしです。
ごめんなさい・許してください・ありがとう・愛しています。
ホ・オポノポノの4つの唱え言葉をもってしてでも
小生意気な態度は目に余るのだろう。悩みは果てなかった。
「運命、変わったわ」と嬉しそうに話す朗らかばーちゃんも
今頃はとっくに退院されてその後をご家族と暮らしてらっしゃるのだろう。