葛藤のバトンにならぬように、
昭和をA病院で生き抜いたわたしは、
平成の体制が生ぬるくて生ぬるくてもどかしかった。
たとえばお風呂の入り方。
湯船で体を洗ってはいけません、的なことを
現在は言ってはいけないみたいになっていた。
オーノー!
わたしはA病院のお風呂の最初の最初にきちんと指導されましたけれど。
Bちゃんにはそのへんのやりとりが不可能にしろ、
一応はひととおり説明があってもいいと感じた。
彼女は素直だから良いことはじゅうぶん沁みこむし。
言ってもわからない子とはいえ、洗面所の鏡を黙々と笑顔で
拭いていたBちゃん。出来るんだよね。ちゃんとした躾があれば。
きっと毎日面会にいらっしゃるお母様の見よう見まねで
Bちゃんは素直に天真爛漫に行動していたんだよね。
湯船で爪をせせっちゃいけないよ、って言いたかった。
そのかわりお湯をはじいて彼女の手に当たるように
「スプラッシュ!」ってするのが精一杯だったなぁ。
ぽかーんとしているBちゃん。
わたしが上の世代に指導されて今があって下の世代にも
同じように指導する、というわけではない。
そんなの葛藤のバトンだ。
そのバトンはわたしがアンカーになってゴールテープを切って終わり。
Bちゃんは人魚姫みたいなスタイルだった。
色白ではちきれそうに若い。とってもまぶしかったよ。