人間だから出来ることは増えていく【しあわせのはじめかた】
私は30歳くらいまで家事にものすごくコンプレックスがあった。
やろうとしないし全く出来なかった。
オール母まかせのお気楽娘でそういうところを見抜かれた同級生や先生がたに
チクチク嫌味を言われからかいも受けいじめられ、
ますますいじけてそのせいにして「なんもせん道」まっしぐらだった。
自分より出来ない人を見下げる人間によくあるループに入っていた。
母は「この子は強情の鬼っ子で育ったしどうせ言っても聞かないヒトだから」と
諦めていた(ように見えた)。母の大筋の考えは「然るべき年齢になったら
誰でも出来るようになるから」と実際私にそのように伝えていたし
ぎゅうぎゅうの抑圧で仕込まれなかったことを今はとてもありがたいと思っている。
30歳を過ぎて精神障害基礎年金を受給しはじめた頃から意識が変わった。
苦手なりにも家事に取り組めるようになった。
「めんどくさいと言わず家事くらいやらないと」
という意識に切り替わったのはあの時だった、と思う。
年金にもいいきっかけをもらったのだった。
経験を重ねていくほど幾つもの達成感を感じ
(逆に家事ばかりしていると荒む気持ちもついてきたが)
私は家のことをするのが「好き」と言えるまで時間をかけてなっていった。
家事できないコンプレックスは消失しこういうのが年を重ねていく歓びなのかな、と
感じるようになった。院長先生の「病気も年をとると末広がりに良くなります」と
仰られた言葉の真意がちょっとわかった気がしている。
精神障害基礎年金は受給が打ち切られてもうすぐ3年が経とうとしている。
末広がり力に助けられ私は今もなんとか「落ちない生活」を続けている。