落し物ですよ。
街をひとりで歩いていて前を歩く女性のかばんから
落としたものに気づいたのに私は気後れして教えてあげられなかった。
そのことがずっと頭にこびりついて離れなかった。
次からは落し物に気づいたらすぐ教えよう、と固く心に決めた。
落としたひとの身になって考えたら例えばハンカチ一枚でもかなり引きずるだろう。
物の喪失感もショックなことだ。親しい人物が離れていくに等しい喪失感だ。
それを埋められる状況にあったら私の気後れなど知ったことではない。
伝えるんだ。どんなにすっとんきょうな声が出たとしても。
- 作者: マイクマクマナス,ヒューイ陽子
- 出版社/メーカー: ヴォイス
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「ソース」を再読していて人の役に立つことで私が出来るのは
「落し物を教える」ことだった。
とても小さなことだけど些細すぎることだけど
我が強くてそれなのに気後れまでする私が精一杯考えたのはこれだった。
その小さな心がけが私をもっと広くしてくれることもなぜだか知っている。
ので、書いてみた。壊れそうな勇気を出そう。「落し物ですよ」。