同意のためのサインをさせられた部屋のおかしな空気。
「あの時あなたは”妊娠しています”とも言ったんだよ」
そりゃ言いますよ。強制的に入院させられる場面ではなんだって言いますよ。
とにかくその場の家族も病院の関係者も私本人のサインを求めていた。
私のサインがないと入院にならないのだ。
書類上の形式だけ、法律を形だけ守るためにフラフラの頭の患者に
入院を同意するサインを強いて求める皆さん。
あの場の異様さだけ覚えている。皆さんのそのサインを書かせるための
エネルギーはこちらからするとただ愚かしかった。
形式上のことに反論する言葉をもたず根負けしてサインをした
屈辱をおぼえている。入院にまつわる諸々に周囲の強制の空気は
必ずついてまわった。サインをしたからといって
その後の私に首をかしげさせる場面がなかった、とは言えない。
ずっとずっと覚えている、その時の大人たちの不可思議なエネルギー。
精神病者だっておかしいと感じるのだ。
何をされても文句は言えないとはあの場では約束したことにならない。