お医者バラエティ。
「僕は素直なのはバカだと思っているからね」
病棟へ新しく来たZ先生は最初の診察で一通り話した後に
そのようなことを仰った。
はいぃ?と聞き捨てならないモードのスイッチオン。
好戦的なのはその先生の生き方の戦略としてだったろうか。
私は単に頭の良い人特有に感じるめんどくささをチラッと思った。
「バカというほうがバカ」という言葉もあるが
今の私でもそれは負け惜しみっぽく響くだろう。
初手からばか者扱いというのはそれまでの医者の概念を覆した。
それにしてもお医者にも個性があるのだった。
病棟内でインテリジェンスを感じたかったら少数の仲良くしてくれた患者、
あるいは医師との会話に狭く深く限定される。
さまざまな医師とのやりとりで強烈に覚えていることのひとつ。
「なるべく副作用の出ない薬にしておいたからね」
私はタバコを吸いにいくふりをして一人で泣いた。
それでもふとした加減で舌がまるまっていく感じがあったので、
正直に告げると然しものX医師も「そんな筈はないんだけどなあ」
がくーっ。出た!「そんな筈はない返し」だから例外は存在するのです。
…私の体質の反応のほうがやっぱりおバカなのでしょうか。