時間薬に寄せる信頼。
病気が気を重くさせていたことはいっぱいあったなあ。
末広がりの法則を知ってから私は徐々に大人になってきはじめたと思う。
私に処方されるお薬は基本的にふくよかになっていく傾向があった。
激太りして強い視線恐怖が消えなかったり店に入る際に酷く気後れしたり外出が心理的に不可能になった時期があった。若い頃は心身にフィットするファッションもわからなかった。それが古着屋が台頭してきた頃から納得のサイズ・シルエットの服を購入するなど服のチョイスに対する場数も増えた。服が決まると美容室嫌いが克服された。現在は太っている自分を受け容れられた、と思う。自分本体を内も外も愛するのだ。誰より私が自分を知っている。そのままの自分のすべてを許すんだ。
時間薬は確かに効くんだと思う。若いときほど焦るけれども。
ここから先は対人という分野を学ぶシーズンだろう。
「無菌室から出る必要はありますよね」と
私のひきこもり時期を終えるように、とやんわり手紙で伝えてきたかたもいたし。
末広がりの法則は葛藤や煩悩が薄らいでいくのを指していたのかもしれない。
意識的に暮らして精神は軽やかになる。毎瞬の、にこやかの積みかさね。